ステンレス(SUS材)の赤くなる(錆びる)現象について

ステンレスは「錆びにくい鉄」と言われ、錆びないのではと思われる方から稀に「赤くなるけどなぜでしょうか」とお問い合わせいただきます。
ステンレスが赤くなる(錆び?)現象は内部から錆びるか、外的要因が原因で錆びるかのどちらかです。

内部からの錆び

前者の内部からの錆びとはステンレス自体が錆びる現象です。
流通性のある代表的なSUS304(オーステナイト系)は母材自体の自然放置状態から錆を発生する事はありません。では母材から錆びるステンレスとは何かいうと代表的なSUS430(フェライト系)の種類です。
家庭の台所シンクや飲食店の厨房などに使われることが多く、安価で鉄のようにすぐ錆びるわけでもないのでよく使われています。主な錆びる原因は、塩分濃度の高い環境に長時間さらされる、腐食が進行するケースです。鉄そのものではないので、極端な錆の進行は無いですが錆の完全除去は難しいです。

SUS304とSUS430は見た目に判断は不可能ですが、磁気を帯びるかで判断できます。磁石が付かないならSUS304で、母材自体の自然放置での錆びではありません。
※近年、高強度二層ステンレス(SUS821L)と言う磁石に付くがSUS304より高耐食性の優れた素材が流通しており、磁気での材質判断が難しくなりつつあります。

外的要因の錆び

後者の外的要因の錆び原因は俗にいう「もらい錆」と言われる現象で、例としグラインダーの粉(鉄粉)や鉄材がステンレス材に触れ鉄分の粉が付着し赤くなる(錆びる)現象です。
製品周囲の環境状態が影響している可能性があります。
もらい錆のような部分的に赤くなる箇所は不動態化処理を施せば赤み除去と錆の進行は止められます。ただし、オーステナイト系(SUS304など)に限ります。内部錆で述べたフェライト系のSUSは弊社の薬品が強い配合の為、不動態化処理には不向きです。

ステンレスの赤くなる現象は母材の確認と、製品の保管状態を確認して頂ければ赤み(錆び)の対策と除去法が見つかると思います。

もらい錆の除去について

もらい錆の除去の方法として2つ挙げられます。物理的除去薬液除去です。それぞれのメリット、デメリット記載します。
物理的除去はもらい錆の箇所をサンドペーパーなどで擦るだけです。自身での処理であれば費用も発生しません。他にショットブラストでの除去も有効です。どちらもピンポイントでもらい錆び部付近のみの処理が可能で、正常箇所は変化なく良いですが、高温多湿度など環境下によってはペーパーやショットの付着した鉄粉が再度錆を発生させる可能性があります。また、ペーパーの光沢やショットのさかえ目など模様が目立ちやすくなります。
薬液除去酸洗い処理法があります。酸洗いは強酸の薬液にもらい錆部も含め全部位を浸すので錆びはもちろん全体の目立たない汚れまで除去可能です。表面全部位の不純物を除去するので、今後の錆び発生も予防できます。業者に依頼するため、費用が発生するのと、もらい錆部の除去が出来ても錆部の組織変色が多少目立つ可能性があります。(変色するか処理前の判断は難しいです。)

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